日頃よくディスるという言葉を耳にするが、元々ヒップホップの文化だそうで、disrespectの略なんだと。
まぁ、ヒップホップが流行りに流行り市民権を得まくっている現在において、今更説明する必要もないかもしれないが。
今回はそんなディスに満ちたアルバム cali≠gariがインディーズ時代にリリースした 第6実験室についてのお話
4回目のボーカル交代という普通のバンドでは考えられないメンバーチェンジを経てリリースされたアルバムで、本作から4代目Vo.石井秀仁氏が本格的に曲作りに参加しており、今までのバンドサウンドに氏が得意とするテクノ、ニューウェイヴ要素が加わっている。
詩に関しては元々エログロナンセンスな世界観だったが、本作は音楽シーン、リスナー、業界とあらゆる方向に向けた皮肉と批判が中心になっている。
前語りはこんなもんかな。曲のお話へ
#1 「第6実験室」 入口
実験室シリーズお馴染みの、足音と扉を開ける音のSE
まーじでこのセンス最高なんすよね。バンドのというか、我が神 Gt.桜井青氏のこだわりを感じます。
#2 187
実質1曲目
DISアルバムのオープニング曲になるが、死ね!殺してやる!死んじまえ!とDISもクソもないような歌詞で草生える。
作曲者の桜井氏が、限定商品を購入するために行列に並んでいたところ、割り込みのせいで買えなかった怒りで作ったそう。
それはたしかにキレていい。
#3 ギャラクシー
vo.石井氏作曲
黄色い声 黄色い猿人
野放しのサバンナか?
無駄にはしゃげ!
下段、下段、下段 サファリ〜
すげー歌詞。見事なリスナーDIS
脱退した前ボーカルが強烈すぎて、加入時にボロカス言われてたらしいから仕方ないとも思えるか…
ちなみに石井氏は加入時に公式サイトの掲示板に、批判的なリスナー宛で「テメーらいい加減にしてください」という名文を投下したのは有名。
文章を作ったのは友人らしいが、OKサインを出したのは氏だそう。
#4 フラフラスキップ
DISではないが、こちらもリスナーに向けた歌詞。
リスナーとメンバーの肉体関係だとか何とかが取り沙汰されやすいV系(ほかのシーンでも同じようなもんだが)において、早くお家に帰りなさい。責任とか取れないもんねとまさかのリスナーを諭しに行くスタイル。
石井氏のシニカルな面とテクノ成分が堪能出来る曲です。
#5 ドラマ「近代的コスメ唱歌」
13本目(クソ多い)のデモテープ 盲目であるが故のTHE統一感(なんやそのタイトル)をリリースした、LA’ ROYQUE DE ZAVYという架空のバンドのインタビューを模したコントボイスドラマ
cali≠gariのドラマシリーズ最高傑作で、何回聞いても草生える。
架空のバンドながら実際に曲もリリースしているので是非聴いて欲しい。
Moonlight白昼夢はV系史に残る名曲
#6 近代的コスメ唱歌
インディーズで跋扈していた典型的な、中身のない形だけのV系バンドを痛烈に皮肉った曲。
そういったバンドが蔓延るのは時代もシーンも変わらないもので、自分はどちらかと言うと皮肉る立場に立ちたいと思います。
#7 ア.イ.ノ.カ.ワ.キ
Ba.村井研次郎氏作曲
DISにまみれた曲が続いてきたが、この曲はちょっと違う。なんとなーく皮肉っぽさは漂うが。
ニューウェイヴ歌謡風の曲で、Aメロのスラップが巧
曲名は恐らく三島由紀夫の愛の渇きから。
めちゃくちゃ面白いのでこちらも是非
#8 マス現象 ヴァリエーション1(有象無象編)
これは問題作
石井氏作曲で先輩ミュージシャンに対しての批判を歌詞に込めている。
あくまで自分個人の推測だが、石井氏の出自的にこの人のことかな〜と思う。
石井氏曰く、今となっては聴きたくない曲だそうで、後にギャラクシーがリメイクされた際にこの曲の一部メロディと歌詞が引用されている。
#9 ひらきなおリズム
ここに来て自虐
cali≠gariお得意のピッチシフターをかけた不協和音ギターとテクニカルなスラップを交えた曲。
そもそもパクリなのであ〜る 五番煎じに美を感じるのであ〜るとなかなか身も蓋もない
まさにひらきなおリズム
#10 3S / 道はロード
cali≠gariじゃないという声から始まるのは、マジでカリガリではなく、3Sというユニットの道はロードという曲。
という設定のナンセンスなラップ曲
要はただの悪ふざけです。
道はロード、涙はティアー。大真面目に聴いたら負けです。
#11 5!5! レッツゴースト!
Dr.武井誠氏作曲
こちらはレコード会社を痛烈に批判した曲。
今夜もまた嗅ぎつけてやって来る
楽屋がせまい
ここ切実ですき
この曲でガチガチにレコード会社を批判しているが、この直後にメジャーデビューするんすよね。
ハロー!メジャー?って思わせぶりなタイトルだが、物販でメジャー(巻き尺)を売るだけのライブをしてたりもしたが。
#11 コバルト
我らが青さんボーカル曲
タイトル通り、みんなコバルトしましょうという曲
60年代キューティーポップを意識した曲調らしく、要所要所のワァーオ!ってコーラスとかそれっぽい。
コバルトしましょうって言われてもいまいちピンと来ない人も多いと思うが、こういうことです。
青 噛んで熟って頂戴
#12 ママが僕をすててパパが僕をおかした日
いつ見てもすげータイトル。でも名曲
タイトルで卑猥なことを想像した人も多いと思うが、犯したではなく侵したが正解。
父親の歪んだ教育でおかしくなったってこと。
毒親とかそういう話しね。
言うて解釈はひとそれぞれなのでとりあえず聴いてください。ガチ名曲なので
#12 ただいま
ここまで毒を振り撒いてきた本作だが、切ないフォークバラードで〆
リスナーの情緒が破壊されます。
こういう私小説的な作風はcali≠gari、というかこれも青さんの得意とするところでアルバムの最後にはこの曲のような切ないが、心温まる楽曲が収録されがちです。
終わりよければすべてよしなんだよ。
#13 「第6実験室」 出口
入口があれば、出口もある。
ということで、扉を閉める音のSE
芸が細かい!!最高!!
以上、cali≠gari 第6実験室のお話でした。
本記事を書くにあたって改めて聴き直してみたが、キレッキレのアルバムですね。
こういうことをしているからか、当時はV系リスナーには避けられ、V系以外のリスナーからはV系という理由で避けられていたそう。
四面楚歌やん
本作と一つ前にリリースしたブルーフィルムというミニアルバムが現在のcali≠gariの原点になっているので、どちらも外せない名盤です。
いや、、言うてV系やん…とか言って聴かず嫌いするリスナー共は…
✕ね!!✕してやる!!✕んじまえ!!
ほな…また…