J-POP、というか大衆音楽を見下す邦洋ロックリスナー(笑)の皆様、Mr.Children(以下ミスチル)というバンドについてどう思う?
もう20年以上活動しているベテランバンドだが、セールスや一般の知名度からロックバンドというより、大衆的な優しい、悪い言い方をすれば甘っちょろいポップスバンドとしての認識が強いのではないでしょうか。
俺もそう思ってた。(自戒)
今回はそんなミスチルの全ディスコグラフィ中でも、ファンから問題作、異色作、踏み絵と称される5thアルバム 深海のお話
画質ガビガビでごめんね。
既に人気バンドだったミスチルだが、本作制作当時Vo.桜井和寿氏が精神的にかなり疲弊していたらしく、その精神状態がアルバムにそのまま現れている。
前述の通り、問題作として扱われていることが気になって本作を聴いてみたところマジでぶっ飛びました。
甘っちょろいポップスバンドと思っていた自分が甘っちょろかった。
初期ムック、初期THE BACK HORN、93年頃のBUCK-TICK、syrup16g、KOЯN、etc…鬱バンド愛好家として名高いアッツが太鼓判を押す名盤です。
ちなみに今作が人生初ミスチルだったせいで、他のアルバムが聴けなくなりました。
アルバムのせいにすな。それでは曲のお話へ。
#1 Dive
1曲目はSE 水に飛び込む音からストリングスへ
もう既に雰囲気が重苦しく、暗い海の底を想起させながら次曲に繋がる。
#2 シーラカンス
暗ッ!好きッ!
アコースティックからバンドサウンドに移るところで優勝できてしまう。
鬱バンドとして名前を挙げた初期ムックや、KOЯNのように呪詛を吐き散らすのではなく、syrup16に近い諦観した暗さを感じる。
途中からシャッフルビートのアップテンポな曲調になり、少しだけ明るさを見せるがやっぱり暗い
#3 手紙
アコースティックなバラード また暗い
wikiによると次曲とセットになっているが、結末であるこの曲をあえて先に持ってきているとのこと。
こういうギミック好きです。
#4 ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~
前述の通り、セットになっている曲の前編に当たる曲。
カラッと明るいバンドサウンドでひとつの恋愛の始まりから終わりを歌っている。
この曲を聴けばあえて前後を逆にした意味が分かると思う。
前曲の暗さがめちゃくちゃ引き立ってます。
別れてから病みすぎやろ…
#5 Mirror
ちょっと落ち着いたフォークソング
作曲の経緯や歌詞の内容はwikiに当時のインタビューからの切り抜きが掲載されていて、表現したかったものが後追いリスナーの自分でも理解できるのだが、どちらかと言えば前向きな内容の歌詞に自嘲めいた雰囲気を感じる。
Vo.桜井氏の当時の精神状態を踏まえてそう感じるのか、オタク特有の深読みなのか。
#6 Making songs
SE扱いでいいんかな?
デモ音源を切り貼りしていて、最後には次曲のデモが流れる。
#7 名もなき詩
死ぬほど売れたシングル曲
この曲も明るさの中にどこか少し投げやりな印象を受ける。
ラスサビ前の早口からの転調で優勝できます。
内心どうであれ、不安定な精神状態でもこんなポップな曲が書けるのは流石国民的アーティストだなと。
#8 So Let's Get Truth
全体的に曲が繋がっている本作だが、ここからの3曲は特にひとつの流れを感じる。
この曲は弾き語りで歌われる社会派な曲
我は思想を持たぬ愚連隊です 若きこの世の雑草です 団塊の世代が産んだ愛の結晶は 今日も walking in the street
ここパンチライン
#9 臨時ニュース
インスト、ってゆうかSE
ニュースの音声とチャンネルを切り替える音で出来ている。
いわゆるサウンドコラージュというやつです
#10 マシンガンをぶっ放せ
後にカットされるシングル曲
内面に向きがちな本作において唯一攻撃が外に向かっている曲
やがて来る“死の存在”に目を背け過ごすけど 残念ですが僕が生きている事に意味はない
ここの歌詞クソ好き
初めて聴いた時はまさかミスチルがここまで言うとは思ってなかったのでかなり衝撃を受けた
#11 ゆりかごのある丘から
見えない敵にマシンガンをぶっ放せ!とか物騒なことを歌っていた前曲のアウトロから繋がって始まるのは、戦争をテーマにした物悲しいバラード(しかも8分もある)
この落差最高じゃないですか??
これが国民的バンドのやることかよ!
#12 虜
ピンク・フロイドの有名アルバム 狂気に影響を受けているとされる本作の中で1番フロイドっぽいと個人的に感じた1曲 ファズギターのせいかな?
歌詞のテーマは浮気、不倫
悪意はなく単純に感想として、不倫した側の人間がこの歌詞書いているというところが面白いなと。
#13 花 -Mémento-Mori-
これCMで聴いたことあるって人多いんじゃない?自分もそう。
アルバムのクライマックスに相応しい優しい曲
ただ、前向きな曲ではあるが何となく空元気のような前向きさが見えてくるのは気のせいか
この曲だけを聴くか、ほかのアルバムに収録されていたら印象は変わっていたかもしれない。
まあそんなことは関係なく名曲です。
#14 深海
優しい曲で終わらないのが本作
最終曲にして表題曲 歌詞にシーラカンスが登場することから実質#2 シーラカンスの続きとも言える。
終盤の「連れてってくれないか、連れ戻してくれないか」このフレーズは地上へなのか、深海へなのかでこの曲の解釈が大きく変わると思う。
生に執着しているのか、死を望んでいるのか。
最後の水音も意味深
みんなどっちやと思う??
以上、Mr.Children 深海のお話でした。
書きながら思ったけど自分はただの鬱バンド愛好家なのでミスチルのハードリスナーさんとは本作の捉え方が違うと思う。解釈違いについてはご容赦🙏
ただ、バンドの歴史の中でどう、ミスチルというバンドとしてどうとかいう話は関係なく名盤だと思うので食わず嫌いせずに聴こうね。
次作、BOLEROも傑作と評価されているのでいつか手を出したいところ。
あと、アルバムが好きでもそのバンドについての知識があまりないと浅ーい話になってしまうという反省 精進します。
結論。鬱盤最高ゥ!!
ほな…また…