バンドというものは生き物なんです。
作詞作曲をしているメンバーを心臓だとすると、作詞曲を行うメンバーが複数人いるバンドは心臓が複数個あるってことになりますわな。
大体の生き物は心臓1個しかないけどたしかイカとかタコって心臓2.3個あっt……(以下脱線)
今回はバンドブームの寵児 ユニコーンの5thアルバム ヒゲとボインのお話
本作はユニコーン屈指のマニアックな、そしてなんとなーくギスってる雰囲気の漂うアルバムとなっております。
次回作製作中にメンバー脱退、リリース後に解散という歴史からそう感じるのかと思うが、それだけじゃないと思うんです。
前作「ケダモノの嵐」が解散前ユニコーンの最高到達点といえる傑作だったとか、その後のミニアルバム連続リリースとか、バンドとして煮詰まってそうな雰囲気があるんですよ。
まあ、これは前作からの流れで聴くとかアルバム全作聴くとかすれば伝わると思います。
ってか聴け(圧)
あと、個人的にユニコーンの中で1番ビートルズ感がある気がします。(ビートルズ浅パチャ民)
とりま聴いていくぞっ
#1 ターボ意味無し
いきなり気怠いブルースロックからスタート
これ1曲目ってだいぶ攻めてますよね。音楽性はガチとはいえハチャメチャなバンドだけにこういう曲からアルバムが始まるのはちょっと異質な感じがします。
#2 黒い炎
打って変わってノリのいいブラスロック曲。ボーカルはBa.EBI氏
この2曲だけでユニコーンの音楽性の広さが分かります。
このバンドは何故か中高年を題材にした歌詞が多いような…
#3 ニッポンへ行くの巻
3曲目で更に音楽性が広がります。オリエンタルな雰囲気の漂う曲で、自分は何故か快活CLUBのBGMが頭を過ります。
海外から見たら日本って変な国なのかね。
ちなみに見たことは無いが、アルバムのリードトラックという訳でもないのにMVが作られているそう。なんで?
#4 開店休業
はい、名曲来ました。ファンベストアルバムにも収録されているあたり実際リスナー人気も高い曲です。
ドラムの入るタイミングが絶妙なんですよね。デモ音源で誤ってドラムトラックを削除してしまったことによる偶然の産物らしいが。
こういう曲と歌詞は奥田民生が歌うからこそ映える。
#5 幸福
ここで民族音楽風のアコースティック曲へ、なんかラバーソウルあたりのビートルズ味を感じます。この曲はgt.手島いさむ氏作曲
この人解散前は細身でチリチリロン毛の硬派な見た目で、HR/HM由来のギターを弾く男だったが、作る曲は優しかったりポップだったりします。
どんなセンスしてるんすかねマジで(絶賛)
個人的に氏の曲ではオールウェイズが1番好きです。
でもこの曲は闇深…
#6 看護婦ロック
タイトルはエルヴィス・プレスリーのパクリパロディです。曲自体にエルヴィス感があるかないかは人それぞれかもね。
終盤のブレイクからシャッフルビートになるとこはちょっとロカビリーっぽい。
歌詞についてはタイトル通りとしか言えません。
#7 立秋
これはマジで隠れた名曲ですね。ただ、マニアックすぎてファンからフェイバリットに挙げられることも少ないような気が…
プログレ的な拡がりを感じさせる曲で、ギターパートはベースをチューニング上げたり強めに歪ませたりしているらしい。言われな分からんな。
#8 ザ・マン・アイ・ラヴ
洋楽の邦題かよ。このアルバムで数少ない激しめの曲です。ちょっとこもった音なのもいいね。
Dr.川西氏(当時は西川)の作詞曲で、初めて聴いた頃はピンと来なかったが今になって聴くと歌詞の意味が分かる。
マジでこの人の書く歌詞って絶妙なんですよね。
#9 フリージャズ
タイトルからどんなアヴァンギャルドな曲なんだと身構えていたらまさかのほのぼの曲でした。
レコードのようなノイズ混じりの音や、管楽器がレトロ感を演出している。
混沌としたアルバムの清涼剤になるかと思いきやさらに混沌を加速させているような気がします。
#10 風
これはビートルズのブラック・バードのパロディですね。イントロとか雰囲気そのままで草生える
が、まさかの30秒
意図は不明だが、極端に短くすることによってパロディからオリジナルに昇華させているってことでいいんじゃないですかね。
#11 家
前曲の雰囲気を引き継ぐようなアコースティック曲。環境音とアコギの生音合うな〜とか思ってたらストリングス入ってきてびびりました。
この曲もビートルズっぽさあると思います。ストリングスの入りとかサージェントペパーズっぽくないですか??
#12 Oh What a Beautiful Morning
急にめっちゃほのぼのになりましたね。でもBメロは演歌。
途中とアウトロの転調パートに並々ならぬセンスを感じます。
サビの英詞が無駄に発音良くてすき
#13 風Ⅱ
まさかの続編 区役所には行け
#14 車も電話もないけれど
名曲来ましたね。ファンベストに収録もされている人気曲です。
タイトルだけみるとなんの曲やねん!って思うけど歌詞がめちゃくちゃいいんですよね。タイトル回収も秀逸。
これシングル曲でもよかったんじゃね?
#15 ヒゲとボイン
ラストは本作のタイトルトラック
本記事を書くにあたってアルバムを聴き返したけど、生音主体の王道曲ってこの曲ぐらいですね。
ユニコーンってサラリーマンをテーマにした曲が多い(当社比)気がするが、この曲は独特のストーリーがあって特に好きです。
メンバー扮する侍と西部劇のガンマンが戦う謎MVがあります。まじでなんなんすかね。
以上、ヒゲとボインのお話でした。なんかいかがわしい話してたみたい
やっぱり前フルアルバムである「ケダモノの嵐」に比べると詰まり感というか、言い方は悪いがネタ切れ感が漂うんですよね。あとは前語りでも触れたギスギス感。
アルバム単体での人気は何とも言えないが、この曲からファンベストに3曲も入ってるんです。
前作が傑作、次作がラストアルバムという微妙な立ち位置のせいか地味な印象がぬぐえないが、良いアルバムですよね。
まだ聴いたことない人は他のアルバムも聴いてみよう!!
ほな…また…